業務委託契約では、発注者と受託者の間で機密情報をやり取りすることが多くあります。このとき、秘密保持義務を契約書に明記しないと、情報漏えいによる損害賠償や信用失墜のリスクが高まります。
この記事では、秘密保持条項の基本構成、有効期間の設定方法、例外規定の書き方、そして法令対応まで詳しく解説します。
なぜ秘密保持条項が重要なのか?
- 顧客情報や技術情報を保護するため
外部委託では、企業の機密情報が第三者に渡るリスクがあります。 - 契約終了後も情報を守るため
契約期間中だけでなく、終了後も一定期間、秘密保持義務を課す必要があります。 - 法令対応のため
個人情報保護法やフリーランス保護法では、情報管理の適切な措置が求められます。
図解:秘密保持義務の構成要素
図:秘密保持条項の基本構成
秘密保持条項
├─ 秘密情報の定義
├─ 義務の範囲(開示禁止・利用禁止)
├─ 有効期間(契約終了後も継続)
└─ 例外規定(公知情報・法令開示)
書き方のポイント
1. 秘密情報の定義を明確化
- 「甲が乙に開示する技術情報、営業情報、顧客情報その他業務上知り得た情報」と記載。
2. 義務の範囲を具体化
- 第三者への開示禁止、業務目的以外の使用禁止。
3. 有効期間を設定
- 「契約終了後も3年間」など具体的に記載。
4. 例外規定を明記
- 公知情報、受領前から保有していた情報、法令に基づく開示義務。
実務で使える記載例
基本条文例
「乙は、甲から開示された技術情報、営業情報、顧客情報その他業務上知り得た情報(以下『秘密情報』という)を、契約期間中および契約終了後3年間、第三者に開示または漏えいしてはならない。」
例外規定の記載例
「ただし、次の情報は秘密情報に含まれないものとする。
① 開示時に既に公知であった情報
② 開示後、乙の責によらず公知となった情報
③ 開示前から乙が保有していた情報
④ 法令に基づき開示を求められた情報」
よくある失敗例と改善策
| 失敗例 | 問題点 | 改善策 |
|---|---|---|
| 有効期間を記載しない | 契約終了後に情報漏えい | 「契約終了後も3年間」など期間を明記 |
| 例外規定がない | 公知情報まで秘密扱い | 公知情報・法令開示を例外に設定 |
法令対応(フリーランス保護法・個人情報保護法)
- フリーランス保護法では、契約内容の明示義務に秘密保持条項も含めることが推奨。
- 個人情報保護法では、委託先に対して適切な管理義務を課す必要あり。
トラブル事例と防止策
事例1:契約終了後の情報利用
受託者が過去の業務で得た情報を別案件で利用。
→ 防止策: 契約終了後も秘密保持義務を課す。
事例2:法令開示で紛争
受託者が法令に基づき情報を開示したが、契約書に例外規定がなく紛争に発展。
→ 防止策: 法令開示を例外規定に含める。
実務で使える条文例
「乙は、秘密情報を契約期間中および契約終了後3年間、第三者に開示または漏えいしてはならない。ただし、法令に基づき開示を求められた場合はこの限りではない。」
チェックリスト
- 秘密情報の定義が明確か
- 義務の範囲が具体的に記載されているか
- 有効期間が設定されているか
- 例外規定が記載されているか
- 法令対応(フリーランス保護法・個人情報保護法)を満たしているか
まとめ
秘密保持条項は、業務委託契約における信頼の基盤です。
有効期間と例外規定を明確に記載し、情報漏えいリスクを防ぎましょう。
次回は、「契約期間・更新」条項の記載例と注意点について詳しく解説します。

