業務委託契約書の末尾に記載されることが多い「準拠法・合意管轄」条項。一見形式的に見えますが、紛争が発生した場合にどの法律を適用し、どの裁判所で争うかを決める非常に重要な条項です。
この記事では、準拠法・合意管轄条項の意味、選び方のポイント、記載例、そして実務での注意点を詳しく解説します。
なぜ準拠法・合意管轄条項が重要なのか?
- 紛争時の適用法を明確化するため
契約にどの国の法律を適用するかを決めることで、解釈の不一致を防ぎます。 - 裁判所の管轄を確定するため
どの裁判所で争うかを事前に決めることで、紛争時の混乱を防ぎます。 - 国際取引や遠隔取引で特に重要
海外のフリーランスや企業と契約する場合、準拠法と管轄を明記しないと、予期せぬ法的リスクが発生します。
図解:準拠法・合意管轄の関係
図:紛争発生時の判断フロー
紛争発生
↓
契約書の準拠法条項 → 適用する法律を決定
↓
合意管轄条項 → 裁判所を決定
書き方のポイント
1. 準拠法を明記
- 国内取引なら「日本法」。
- 国際取引なら、どちらの国の法律を適用するかを明記。
2. 合意管轄を具体的に記載
- 「東京地方裁判所」「名古屋地方裁判所」など、特定の裁判所を指定。
3. 仲裁条項を検討(国際取引の場合)
- 裁判ではなく仲裁で解決する旨を記載することも可能。
実務で使える記載例
国内取引の場合
「本契約の準拠法は日本法とし、本契約に関する紛争については、名古屋地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。」
国際取引の場合
「本契約の準拠法は日本法とし、本契約に関する紛争については、日本国東京地方裁判所を専属的合意管轄裁判所とする。」
仲裁条項を含める場合
「本契約に関する紛争は、日本商事仲裁協会の仲裁規則に従い、東京において仲裁により解決する。」
よくある失敗例と改善策
| 失敗例 | 問題点 | 改善策 |
|---|---|---|
| 準拠法を記載しない | 法解釈が不明確 | 「本契約の準拠法は日本法とする」 |
| 管轄裁判所を記載しない | 紛争時に裁判所選定で揉める | 「東京地方裁判所を専属的合意管轄裁判所とする」 |
法令対応(フリーランス保護法)
- 準拠法・管轄条項は必須ではないが、契約内容の明示義務に含めることが推奨。
- 紛争解決方法を明記することで、フリーランスの保護にもつながる。
トラブル事例と防止策
事例1:海外フリーランスとの契約で紛争
準拠法・管轄を記載せず、海外裁判所で訴訟を提起される。
→ 防止策: 日本法と日本の裁判所を明記。
事例2:国内取引で裁判所選定でもめる
契約書に管轄裁判所の記載がなく、複数の裁判所で争う事態に。
→ 防止策: 専属的合意管轄を明記。
実務で使える条文例
「本契約の準拠法は日本法とし、本契約に関する紛争については、東京地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。」
チェックリスト
- 準拠法が明記されているか
- 管轄裁判所が具体的に記載されているか
- 国際取引の場合、仲裁条項を検討しているか
- 法令対応(フリーランス保護法)を満たしているか
まとめ
準拠法・合意管轄条項は、紛争時の対応をスムーズにするために不可欠です。
国内外問わず、契約書に明確に記載し、法的リスクを最小化しましょう。
次回は、「不可抗力」条項の記載例とコロナ禍での見直しポイントについて詳しく解説します。

